1.止水加重の伝わり
 ヘッド止水部はノズルエッジ部にガスケットを強力な止水荷重で押さえ付けることによって止水しています。そしてその反力はバルブを通して下部のスプリングプレートへと加わっています。スプリングプレートは左右2ヶ所のレバーに乗っているため、荷重はさらにレバーへと加わります。


 2.止水荷重とレバーの働き
 スプリングプレートは下図A点でレバーに乗っており、スプリングプレートが受けた止水荷重はこの接点であるA点からレバーへと加わります。レバーはB点でフレーム段部へ支持された状態にあります。このA点とB点の間には、水平方向のわずかな距離(腕)があります。そのためレバーにはB点を支点として時計回りに回転する力(モーメント)が発生します。その回転する力をバランサー爪部のC点で掛止して保持しています。つまりレバーが回転しないようにバランサー爪部で引っ掛けているわけです。


 3.レバーの働きによるヒューズへの荷重
 このレバーは左右にあり、それぞれのレバーは同じようにお互いに開く方向にそれぞれ回転する力が加わっています。このレバーを掛止しているバランサー爪部には角度が付いています。この角度によりレバーの回転力はセッティングプレートとバランサーの間の距離を広げる力に変わります。バランサーはシリンダーにはめ込まれた状態で固定されています。またセッティングプレートとピストンはナットによって固定されています。ピストンとシリンダーはお互いにはめ込まれた状態で固定されていないため、セッティングプレートとバランサーの間隔を広げる力は最終的にヒューズへの圧縮力となってバランスを保っているわけです。火災が発生し、その熱によりヒューズが融解すると、セッティングプレートとバランサーの間隔が開き、レバーとバランサーの掛止部が外れて分解部が落下します。これがレバー式、またはレバー2点支持式と言われている分解部の構造です。
 4.レバー式ヘッドの作動順序

 レバー下が左右に回転して開こうとする力は、バランサー爪部の角度により、セッティングプレートとバランサーの間隔を広げようとする力に変わっています。その力は圧縮荷重となってヒューズへ加わっています。

 火災が発生すると、その熱を感熱板が吸収しヒューズに伝わります。加熱されたヒューズは融解し、液体となったヒューズはピストンとシリンダーの隙間から下部へと流れ出ます。
 左図の状態ではレバーがバランサー掛止部から外れる寸前です。

 ヒューズが融解し、体積が減少した分だけ、セッティングプレートとバランサーの間隔が広がります。左右のレバーはバランサー掛止部から外れ、互いに回転するように開き続けます。
 既にこの状態では掛止部は外れています。

 掛止部が外れると、内部の強力な組立荷重により分解部は一気に下方へはじき飛ばされます

 分解部はそのまま落下して行きます。次にヘッドに内蔵されていたデフレクター(散水板)が自重により落下してきます。止水部ガスケットはバルブと共にデフレクターに固定された状態で組み立てられています。

 最後にデフレクターがフレーム内部につり下がって、作動は終了します。


以上が、レバー式ヘッドの作動順序です。

← 戻る 次へ →