1.衝撃に弱い止水部
 ヘッドの止水部ではノズル先端の鋭利にとがらせたエッジ部とバルブの間に、銅板製のガスケットを強力な止水荷重で挟み込む事により止水を行っています。この時ガスケットには、鋭利なノズルエッジ部の食い込みが発生しています。食い込む事で止水性を高めているわけです。ヘッドに衝撃が加わり、ガスケットとノズルエッジ部の間にズレが生じると、それがたとえわずか(微量)でも水漏れが発生してしまいます。
 2.衝撃による内部荷重・分解部への影響
 ヘッドはヘッド自体を組み立てている“組立荷重”によって、止水力である“止水荷重”を発生させています。ヘッドは高い水圧を止水するため、内部には強力な組立荷重を加える必要があります。つまり完成品の状態にあるヘッドの内部には、非常に強力なこの組立荷重が常に加わり続けているわけです。
 この強力な組立荷重を受けている部分が分解部です。この分解部は精密な多数の部品により精巧に組み上げられており、そこに強力な荷重が常に加わっています。ヘッドに衝撃が加わると、この精巧に組み上げられた分解部の構成部品同士の当たりにズレが生じたり、また部品同士のなじみが変化してしまう等の影響が発生します。つまり衝撃によって本来の組立姿勢に狂いが生じてしまうわけです。ヘッド内部の組立荷重は極めて高い精度でコントロールされているため、たとえ微々たる狂いであっても影響は大きく、ヘッドの組立荷重は低下してしまいます。これは止水部の止水荷重の低下、つまり止水性能の低下となって、水漏れの原因となります。つまり組立荷重が下がっているという事はヘッドに何らかの衝撃が加わったとも言えるわけです。ちなみにヘッドの止水力低下を調査するには、メーカー社内の専用計測装置で組立荷重が下がっているかどうかを測定する以外にはありません。
 前記レバー式ヘッドの作動順序の項での解説の通り、ヘッドが作動する時には2ヶ所のレバー掛止部(レバーの引っ掛かり部分)が外れて作動します。しかしこの掛止寸法はあまりにも小さく、その上わずか2ヶ所で掛止しているだけであるため、物が当たる等の不可抗力によって簡単に外れる場合があります。そうするとヘッドが作動してしまい、火災時以外の誤作動放水が発生するわけです。

レバー式ヘッドの分解部

 3.レバー式ヘッドが衝撃に弱い原因
つまりレバー式ヘッドが衝撃に弱い原因とは
原因 1
  止水部が金属同士を高荷重で押圧しての止水方式であるため不安定であり、荷重が下がったり、当たりがズレたりしただけで、水漏れに繋がる。
原因 2
 強力な内部荷重によって止水しているが、内部構造が脆弱なため衝撃によって簡単に止水荷重が低下してしまい、水漏れに繋がる。
原因 3
 常に強力な内部荷重が加わっている構成部品総てを、掛止寸法のあまりにも小さい、わずか2ヶ所の掛止部で保持しているため、ぶつかり等によって掛止部が簡単に外れてしまう場合があり、ヘッドが作動放水状態になる。
原因 4
 ぶつかり、衝撃等の要因により内部構造がダメージを受け、構造に狂いが生じているものの、たまたま水漏れも分解に至らない場合でも、期間が経過すると共に作動が進行して行き、突然に誤作動放水が発生する場合があり、いわゆる“原因不明の突然の暴発事故”になる。

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