ヘッドはヘッド自体を組み立てている“組立荷重”によって、止水力である“止水荷重”を発生させています。ヘッドは高い水圧を止水するため、内部には強力な組立荷重を加える必要があります。つまり完成品の状態にあるヘッドの内部には、非常に強力なこの組立荷重が常に加わり続けているわけです。
この強力な組立荷重を受けている部分が分解部です。この分解部は精密な多数の部品により精巧に組み上げられており、そこに強力な荷重が常に加わっています。ヘッドに衝撃が加わると、この精巧に組み上げられた分解部の構成部品同士の当たりにズレが生じたり、また部品同士のなじみが変化してしまう等の影響が発生します。つまり衝撃によって本来の組立姿勢に狂いが生じてしまうわけです。ヘッド内部の組立荷重は極めて高い精度でコントロールされているため、たとえ微々たる狂いであっても影響は大きく、ヘッドの組立荷重は低下してしまいます。これは止水部の止水荷重の低下、つまり止水性能の低下となって、水漏れの原因となります。つまり組立荷重が下がっているという事はヘッドに何らかの衝撃が加わったとも言えるわけです。ちなみにヘッドの止水力低下を調査するには、メーカー社内の専用計測装置で組立荷重が下がっているかどうかを測定する以外にはありません。
前記レバー式ヘッドの作動順序の項での解説の通り、ヘッドが作動する時には2ヶ所のレバー掛止部(レバーの引っ掛かり部分)が外れて作動します。しかしこの掛止寸法はあまりにも小さく、その上わずか2ヶ所で掛止しているだけであるため、物が当たる等の不可抗力によって簡単に外れる場合があります。そうするとヘッドが作動してしまい、火災時以外の誤作動放水が発生するわけです。
レバー式ヘッドの分解部
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